- この記事で分かること
- 一番苦労したのはPLCでした
- 電気は「目に見えない」から難しい
- イメージできないまま作業することは危険
- 2年経っても全部理解できたわけではない
- 私が評価されたのは「全部できる人」ではなかった
- 最初に触ったPLCは、何千行ものプログラムでした
- この経験で学んだこと①
- この経験で学んだこと②
- 私が仕事を覚えるために実践した6つのコツ
- ① 現場へ何度も足を運び、設備の動きを見る
- ② 分からない専門用語は、その日のうちに調べる
- ③ 日々の保全・故障対応や情報をExcelにまとめて、自分だけの知識データベースを作る
- ④ PLCは全部読もうとしない
- ⑤ 改善活動へ積極的に参加する
- ⑥ 全部できる人を目指さず、自分の得意分野を作る
この記事で分かること
- 設備保全の仕事が「覚えられない」と感じるのは当然な理由
- 未経験から慣れるまでの私なりの目安(3ヶ月・半年・1年・2年)
- 私が仕事を覚えるために実践した6つのコツ
- 電気工事士の資格は取得した方がいいのか
結論|「覚えられない」のは当たり前。全部を理解しようとしなくていい
設備保全へ転職したばかりの頃、私は正直、何も分かりませんでした。
専門用語はもちろん、PLC(設備を制御するプログラム)の基礎を勉強しても、実際の設備がどう動くのかまったくイメージできません。
配線図を見ても意味が分からず、先輩同士が話している内容も理解できず、「自分には向いていないんじゃないか」と本気で悩んだこともあります。
しかし約2年間働いた今、振り返って思うことがあります。
設備保全は、最初から覚えられなくて当然です。
なぜなら、覚える範囲があまりにも広く、一つひとつ経験を積み重ねながら理解していく仕事だからです。
私は転職前に第一種電気工事士の学科・技能試験にも合格し(※実務経験不足のため免状は未取得)未経験で設備保全へ転職しました。
しかし、最初から実際の設備の知識があったわけではありません。
だからこそ、これから設備保全へ転職する人や、今まさに仕事が覚えられず悩んでいる人の気持ちはよく分かります。
この記事では、私が約2年間で経験したことをもとに、
- なぜ覚えられないのか
- どれくらいで慣れるのか
- 実際に仕事を覚えるために何をしたのか
を実体験ベースでお伝えします。
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なぜ設備保全は「仕事が覚えられない」と感じやすいのか
設備保全は、覚えなければいけない知識の量が非常に多い仕事です。
例えば、
- 電気
- 機械
- PLC
- 油圧
- センサー
- 安全
- 生産設備
- ユーティリティ設備
これらを同時に学んでいかなければなりません。
しかも、どれも少し知れば終わりではなく、それぞれ奥が深い世界です。
新人がすぐに仕事を覚えられないのは、能力不足ではなく、単純に覚える範囲が広すぎるだけだと思っています。
一番苦労したのはPLCでした
私が一番苦労したのはPLCです。
研修ではラダー図の基本を勉強しました。
しかし、実際の設備を見ると何千行、何万ものプログラム。
最初は、
「何を見ればいいのか」
すら分かりませんでした。
入力・出力・タイマー・内部リレー……
一つひとつは理解できても、それが設備全体でどう動くのか全く想像できません。
机上では理解したつもりでも、現場へ行くと何も分からない。
そんな状態が何ヶ月も続きました。
電気は「目に見えない」から難しい
設備保全の中でも、私は最初に電気設備保全を担当していました。
機械保全であれば、
- モーターが回る
- ベルトが動く
- シリンダーが伸びる
など、目で動きを確認できます。
一方で電気は目に見えません。
配線の中を電気がどう流れているのか。
PLCのプログラムがどう信号を送っているのか。
これを頭の中でイメージしなければなりません。
だから私は、機械保全より電気設備保全の方が難しいと感じました。
イメージできないまま作業することは危険
設備保全では、
「なんとなく」
では済みません。
自動ラインは、0.1秒タイミングがズレるだけで製品不良になることがあります。
安全回路を間違えれば、人身事故につながる可能性もあります。
つまり、
理解できないまま作業すること自体が危険なのです。
だからこそ先輩たちは、
「焦らなくていい」
「まずは理解しろ」
と何度も言っていました。
当時は厳しいと感じましたが、今振り返ると、その意味がよく分かります。
未経験から慣れるまでの目安
設備保全は、「何ヶ月で一人前になれますか?」と聞かれることがあります。
私の経験では、こんなイメージでした。
| 期間 | できるようになったこと |
|---|---|
| 3ヶ月 | 部品交換や簡単な点検ができるようになる |
| 半年 | 先輩と一緒なら保全作業の流れが理解できる |
| 1年 | PLCや設備全体の流れが少しずつ見えてくる |
| 2年 | 改善活動リーダーや設備の改造を任されるようになる |
もちろん個人差はあります。
また会社によって教育制度も違います。
ただ私自身は、このくらいのペースで少しずつ成長していきました。
2年経っても全部理解できたわけではない
ここは誤解してほしくありません。
私は約2年間設備保全を経験しましたが、
設備を完全に理解できたとは思っていません。
私の場合半年ごとに担当設備が変わり2年目にはユーティリティ設備の担当になりました。
担当が変われば、
- PLC
- センサー
- 配管
- 動作
すべて違います。
だから、新しい設備になるたびに新人のような気持ちで勉強していました。
理解が浅いと注意されたこともありますし、怒られたこともあります。
それでも、
「全部を完璧に覚えよう」
ではなく、
「自分の強みを伸ばそう」
という考え方に変えてから、仕事が少し楽になりました。
私が評価されたのは「全部できる人」ではなかった
私は設備を誰より理解していたわけではありません。
一方で、
- プロジェクトの進行管理
- 教育資料の作成
- 保全工事の資料作成
- 改善活動
こうした仕事は得意でした。
設備を100%理解していなくても、
自分の得意分野を伸ばしたことで評価され、給料アップにもつながりました。
だから私は、
設備保全は「全部できる人」が評価される仕事ではなく、自分の強みを持っている人が活躍できる仕事だと感じています。
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最初に触ったPLCは、何千行ものプログラムでした
今でも最初に触ったPLCのことは覚えています。
画面を開いた瞬間、
「何だこれ……」
と思いました。
プログラムは何千行もあり、どこから読めばいいのかすら分かりません。
入力信号が入り、内部リレーを通って、タイマーで制御し、最後に出力される。
研修では一つひとつの命令は理解したつもりでしたが、実際の設備ではそれらが複雑に組み合わさっています。
最初は何時間見ても理解できませんでした。
しかし半年、一年と経験を積むうちに、
「この入力が入ったからここへ飛ぶのか」
「このタイマーが設備の待ち時間を作っているのか」
というように、少しずつ設備の動きが頭の中でイメージできるようになりました。
PLCは暗記ではなく、「設備がどう動くか」を理解して初めて読めるようになるものだと感じています。
最初の失敗は、配線の結線ミスでした
設備保全へ配属されて間もない頃、マグネットコンタクタ(電磁接触器)を交換する作業を任されました。
見た目はほとんど同じだったので、
「同じ場所へ戻せば大丈夫だろう」
と思っていました。
ところが試運転をすると設備が動きません。
原因を調べると、
a接点とb接点を逆に配線していました。
その瞬間、
「やってしまった……」
と頭が真っ白になったことを今でも覚えています。
幸い試運転で止まっただけなので、大きなトラブルにはなりませんでした。
この経験から、
「似ているから大丈夫」ではなく、一つひとつ確認することが大切
だと学びました。
設備保全では、小さな思い込みが大きなトラブルにつながることがあります。
最初に怒られたのは、安全確認を飛ばしたときでした
設備トラブルが発生したある日。
設備の電源を切ったので、
「もう大丈夫だろう」
と思い、そのまま点検を始めようとしました。
すると先輩から大きな声で、
「危ない!」
と止められました。
電源を切っただけでは安全とは言えません。
テスターやメガー(絶縁抵抗計)で電気が来ていないことを確認し、養生やロックアウトをしてから作業する。
それが設備保全では当たり前でした。
当時は
「そこまでやるの?」
と思いましたが、
今ではその一手間が命を守ることにつながると理解しています。
この出来事があってから、安全確認だけは絶対に妥協しないようになりました。
先輩が5分で原因を見抜いた話
これは今でも一番印象に残っている出来事です。
ある週に、水設備で同じエラーが何日も続いて設備が一時的に止まることがありました。
私も原因を探しました。
PLCを見ても分からない。
現場へ行っても分からない。
何時間考えても答えが出ません。
そこで先輩が来て最初に言ったのは、
「まず調査回路を入れよう。」
でした。
私は驚きました。
故障を直すのではなく、
原因を特定するための回路
を追加したのです。
タイマーや内部リレーを使い、
どの工程で止まっているか分かるように変更すると、エラーが起きる場所はすぐ判明しました。
しかし、それでも私は原因が分かりません。
すると先輩は現場へ行き、
バルブを少し触っただけで、
「これだ。」
と言いました。
長年使われたバルブが錆びつき、完全に閉まり切らずエラーになっていたのです。
私は心の底から驚きました。
この経験で学んだこと①
この出来事で学んだのは、
分からないなら、まず情報を取れる状態を作る
という考え方です。
当時の私は、
闇雲にPLCを眺め、
闇雲に現場を歩き回っていました。
しかし先輩は違いました。
まず原因を絞り込めるように回路を追加し、
その結果を見てから現場へ向かっていました。
この「調べ方」こそが設備保全の本当の技術なのだと感じました。
この経験で学んだこと②
もう一つ学んだ重要なことは、
設備は、バックアップや冗長化をできる限り行う
でした。
モーターやポンプも2台以上。UPSも2台。
こうすることにより、設備が突然トラブルで停止をしても、
バックアップに切り替えずっとラインを稼働させることができます。
そして、時間に余裕があることで落ち着いて真の原因を探ることもできます。
最初に改善を任されたのはPLCの改造でした
入社してしばらく経った頃、
現場から
「ここを少し使いやすくしてほしい」
という改善依頼が来ました。
内容自体は先輩からすると簡単だったと思います。
しかし当時の私にとっては大仕事でした。
設備を確認し、
PLCを読み、
回路を考え、
何度もシミュレーションし、
先輩へレビューをお願いする。
修正しては確認を繰り返し、
ようやく実装できました。
改善後は問題なく動作し、
現場から感謝されたことを覚えています。
さらに、
私が調べて取り入れた回路について、
先輩から
「そんな組み方もあるんだ。」
と言われました。
「ちゃんと調べれば、新人でも先輩に貢献できる。」
そう思えた出来事でした。
この経験は、設備保全の仕事に自信を持てる大きなきっかけになりました。
私が仕事を覚えるために実践した6つのコツ
ここからは、私自身が未経験から約2年間で仕事を覚えるために意識していたことを紹介します。
「もっと早く知っていれば良かった」と思うものばかりです。
① 現場へ何度も足を運び、設備の動きを見る
設備保全は、机で勉強するだけでは覚えられません。
PLCや図面を見ても、実際に設備がどう動いているのかを見なければイメージできないからです。
私は時間があるときは担当設備を見に行き、
「このセンサーが反応すると、このシリンダーが動く」
「ここでタイマーが入るから少し待っている」
というように、設備の動きとPLCを結び付けながら覚えていました。
現場を見る回数が増えるほど、理解するスピードも速くなりました。
② 分からない専門用語は、その日のうちに調べる
設備保全では、
- インバータ
- リミットスイッチ
- マグネットコンタクタ
- 電磁弁
- リレー
など、初めて聞く言葉が毎日のように出てきます。
私はそのままにせず、その日のうちに調べることを意識していました。
最初は意味が分からなくても、何度も調べるうちに少しずつ知識がつながっていきます。
小さな積み重ねですが、この習慣はかなり役立ちました。
③ 日々の保全・故障対応や情報をExcelにまとめて、自分だけの知識データベースを作る
設備保全に転職してから、本格的に始めたのが保全・故障事例の記録や情報をExcelにまとめることです。
毎日の保全作業では、
- どのラインか?
- 対応した内容
- 気を付けるポイント
- 学んだこと
発生したトラブルについては、
- 原因
- 対応方法
- 使用した部品
- 再発防止策
などをExcelにまとめていました。
まとめることで、同じような保全作業の時に先輩に聞かずに復習ができ、
物覚えが早いと評価してもらえました。
また、同じような故障は意外と繰り返し起こります。
そのとき、過去の記録があるだけで調査時間は大きく短縮できます。
この知識データベースは、改善活動でも大きな武器になりました。
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④ PLCは全部読もうとしない
新人の頃は、
「全部理解しないといけない」
と思っていました。
しかし実際には、それはほぼ不可能です。
私は途中から考え方を変えました。
まずは、
- どこから入力されるか
- 最終的にどこへ出力されるか
だけを見るようにしました。
そのあとで、
途中のタイマーや内部リレーを追っていく。
こうすると、何千行あるプログラムでも全体像が見えやすくなりました。
⑤ 改善活動へ積極的に参加する
私が一番成長できたのは改善活動でした。
改善をするには、
「設備が今どう動いているか」
を理解しなければいけません。
さらに、
改善後に
- 本当に効率が良くなったか
- 安全性は問題ないか
まで考える必要があります。
改善活動を経験したことで、設備を見る視点が大きく変わりました。
実際に私は改善活動を通して評価され、昇給にもつながっています。
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⑥ 全部できる人を目指さず、自分の得意分野を作る
これは一番伝えたいことです。
設備保全には、
- PLCが得意な人
- 電気が得意な人
- 機械が得意な人
- 工事管理が得意な人
いろいろな人がいます。
私は設備の知識で先輩全員に勝てるとは思いませんでした。
その代わり、
- 教育資料を作る
- プロジェクトを進める
- 改善活動をまとめる
- Excelや資料作成を効率化する
といった、自分の強みを伸ばしました。
全部できなくても、強みが一つあるだけで評価される仕事だと感じています。
設備保全は何ヶ月で仕事を覚えられる?
よく聞かれる質問なので、私の経験をまとめます。
- 3ヶ月:簡単な点検や部品交換ができるようになる
- 半年:先輩と一緒なら保全作業の流れが分かる
- 1年:設備全体の動きやPLCが少しずつ理解できる
- 2年:改善活動や小規模な設備改造を任されるようになる
ただし、2年経っても全部理解できるわけではありません。
設備保全は新しい設備や技術が次々と出てくるため、ベテランになっても学び続ける仕事です。
電気工事士は取得した方がいいの?
結論から言うと、
必須ではありませんが、取得しておくことをおすすめします。
私は第二種電気工事士を取得したあと、第一種電気工事士の学科・技能試験にも合格しました(実務経験不足のため免状は未取得)。
資格を持っていたから仕事ができるようになったわけではありません。
しかし、
- 電気の基礎知識
- 配線の考え方
- 安全に対する意識
は、設備保全の仕事を理解する上で確実に役立ちました。
特に未経験から設備保全を目指すなら、第二種電気工事士だけでも勉強しておくと、入社後の理解がかなり楽になると思います。
まとめ|「覚えられない」のではなく、「覚える範囲が広すぎる」だけ
設備保全の仕事を覚えられないと感じるのは、能力が足りないからではありません。
それだけ専門知識が多く、経験を積み重ねながら少しずつ理解していく仕事だからです。
私自身も約2年間働きましたが、設備を完璧に理解できたとは思っていません。
それでも、
- 現場へ足を運ぶ
- 分からないことを調べる
- 故障事例を記録する
- 改善活動へ参加する
- 自分の強みを伸ばす
この積み重ねによって、少しずつ仕事を任せてもらえるようになり、評価にもつながりました。
もし今、「設備保全の仕事が覚えられない」と悩んでいるなら、焦る必要はありません。
全部を一度に理解しようとするのではなく、一歩ずつ経験を積み重ねていけば大丈夫です。
設備保全は、時間をかけて成長していく仕事です。
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